【ベトナム株】海外輸出増で有望銘柄となり得るTNG貿易投資について解説
この記事では、ベトナム最大の縫製品の輸出企業であるTNG貿易投資について「どんな企業なのか」「TNG独自の強みであるビジネスモデル」「今後の見通し」などを解説、考察しています。
ベトナムの上場株の中で海外への輸出を手がける企業としてはエビ🦐輸出を手がけるFMC(サオタ食品)などの水産株がわりと知られていて、わかりやすいイメージがありますが、ほかにもこんな企業あるんだーと知っていただければ幸いです!
※この記事は筆者の持株のメモが主目的で当該銘柄への投資を推奨するものではありません。
日本株であれベトナム株であれ個別株への投資では思考力を磨き自分の頭で考えることが最も大切だと思っています。筆者のベトナム株投資1年目のポンコツぶり😅は別記事に書いてます>>ベトナム株投資1年目の失敗を晒してみる
それでは本編をどうぞ!
TNG投資貿易はベトナム最大の縫製品の輸出企業
(写真の出所) TNGの公式HP
TNG投資貿易はベトナムでトップクラスの縫製品の輸出企業です。
会社の歴史は古く40年以上前の1979年に国営の繊維工場として設立→2003年に株式会社化→2007年に民営化しハノイ証券取引所に上場しています。
2022年現在も中小企業が主に上場するハノイ証取の上場株です。
本拠はハノイ北方のタイグエン省
TNGの本拠はベトナム北部の地方都市、タイグエン省です。ハノイから車で1~2時間ほどです。
タイグエンが本拠の企業はTNGのほかにもタイグエン国際病院(銘柄コード:TNH)といった上場企業や複数の工業団地があったりします。
ハノイ北方にあるタイグエン省、ちょっと気になってます。ベトナムの中ではお茶で有名なイメージしかなかったけど、人口100万人以上で日本だとさいたま市と同じぐらいでした。あと鉄鋼や探鉱も盛んみたい。確か病院経営してるベトナム株もここでしたよね。投資家目線で一度行ってみたい😆
— ひっぴー | ベトナム株投資💹&Axie Infinity🎮 (@hippy0902) November 4, 2021
こうした地方都市が本拠の企業に目を向けてみるのも、ハノイやホーチミン、ハイフォンといった大都市以上に伸びしろがあるという意味でいいのかもしれません。
去年、自分が注目したDIG(DIC不動産)という企業も主に南部の地方都市ブンタウで不動産開発を手がけている企業なので、自分は地方都市でビジネスをしている企業に目を向けがちです(笑)>>DIGについて書いた記事はコチラ
アパレル製品の製造と海外輸出が主力事業
(↑ TNG運営のオンラインショップより引用)
TNGは子供服からジャケットやチノパン・ポロシャツ・スポーツウェアやスキーウェアといったさまざまなアパレル製品の製造と縫製品の原料生産が主力事業です。
顧客はNike,Adidas,Gapなどの海外アパレルブランド
TNGの顧客は「Zara」「Nike」「Adidas」「Puma」「Columbia」「Gap」などなど、海外のアパレル企業が大半を占めます。輸出先は米国やカナダ、メキシコ、欧州が多く、今後は日本やシンガポールといった国への輸出を増やすことも計画しています。
ここ最近の株価推移と業績
(引用元:Trading View/最新のTNG株価チャート)
上記はここ1年ほどのTNGの株価推移です。赤丸部分が今年(2022年)の年初です。4月以降のベトナム株市場全体の急落の流れを受けて、ここ最近は急落しています。ただ、年初の水準を割り込むほどの急落には今のところなっていません。
一方で直近の業績は下記のようになっています。
【2022年のQ1(1~3月)の3ヶ月の業績】
- 売上:前年同期比で+38%の1兆2,600億 VND
- 税引き後利益:前年同期比で+73%の380億VND (約2億1千280万円 /1vnd=0.0056円で計算)
(参考元のNDH(ベトナムローカルの投資メディア)の記事はコチラ)
具体的な金額はともかく、注目したいのは売上増加の割合以上に利益が増えていることです。この要因の一つとして、後述するFOBビジネスへの注力を進めたことが業績に好影響をもたらしています。
TNGが注力するFOBビジネスとは??
FOB(エフオービー)ビジネスとは、平たく言えば海外アパレルブランドの受託生産のことです。FOBはFree on Boardの略で日本語では「本船渡し価格」と言われるようです。FOBって具体的にどういう仕組みなのか調べると下記の説明が出てきました。
「本船渡し価格」と言われるように、売主は船に積み込むまでの費用を負担し、船賃や海上保険料、輸入関税、通関手数料は買主の負担です。(引用元:ファッションビジネス業界の基礎知識「FOBとは?」)
つまり、TNGが例えばナイキからアパレル商品を受託生産したときにTNGは工場から港までの輸送費を負担し、港から米国までの輸送費や関税などは買主であるナイキが負担するということになります。
TNGにとっては船賃や関税などを負担する必要がなく、利益率が高いビジネスとなっています。
「FOBビジネス以外の契約って何?」と思っていたら先に引用したサイトにCIFという契約もあるという説明がありました。
日本の港に荷揚げするまでの費用を売主が負担するのはCIFです。Cost、Insurance and Freight, named port of distinationの略です。「運賃・保険料込み料金」とも言います。買主は運賃や保険料を負担する必要がないのですが、安い船会社を使うことができればFOBでの取引のほうが有利になります。(引用元:ファッションビジネス業界の基礎知識「FOBとは?」)
縫製品の輸出では、通常はCIF=つまり売主が輸出国までの輸送費や保険料などを負担する形式がスタンダートのようです。
TNGの取引先は国際的なアパレルブランドが多いため、買い手にとってもひょっとするとFOBの方が都合がよく、売主と買主の双方にとってFOBがメリットになっているのかもと思いました。🤔
TNGが利益を増やしている要因の一つにはこのFOBビジネスの割合を高めていることがあります。
今後のプラス材料は対外輸出増+不動産ビジネスか!?
(↑TNGがタイグエン省で開発した不動産物件のTNG VILLAGE/引用元の公式ページ)
TNGの今後のプラス材料として先述した海外アパレルブランドへの輸出増加のほか、工場を構えるタイグエン省での不動産開発があります。
住宅用不動産のほか工業用不動産の開発にも乗り出しており、それらのプロジェクトの成否がこれからの業績に影響してきそうです。
ただ、TNGはこれまで縫製業を主力事業としてきたために不動産ビジネスの経験が乏しく、プラス要因にもリスク要因にもなり得るのかなと考えてます。
各国との関税免除の協定は長期的な追い風になりそう
また、海外輸出に関してもこの記事を書いている2022年4月時点では解消されていますが、昨年のようなコンテナ不足や物流費の高騰などがリスク要因としてはあるのかなと思います。
先述したようにFOBビジネスではTNGが港から輸出先の外国までの輸送費は負担しないものの、物流の停滞による買主からの発注減などが常にリスクとなりそうです。
リスクもある一方で、昨年に発効したベトナムと欧州間での関税協定「EVFTA」を始めとしたベトナムから海外輸出に追い風となる関税免除の協定が、TNGが手がける縫製業においては長期的に追い風となりそうです。
ベトナム株の魅力の一つである対外輸出が増える背景にある関税免除協定の発効は別記事で解説しています>>知る人ぞ知るベトナム株投資の魅力
まとめ(成長株となり得るかは再考します😅)
今回は僕自身の持株の一つであるTNGについて紹介してきました。縫製業というビジネスの長期的な潮流や今後のプラスにもマイナスにもなり得る要因を整理しつつ、今後も引き続き保有し続けるかどうかは冷静に再考しないとなと思っています。
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アパレル関連のビジネスに従事されていたり、「TNGが気になっていた、持株です」という方がいらしたらぜひぜひコメントいただけるとうれしいです!
長期投資のコツや優良企業の見極め方などは「教養としての投資」という本から学びました。下記の記事では聴いてよかった投資に役立つ本を紹介しています>>忘れがちな投資の教えをスキマ時間に学ぶ方法
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