ベトナム株投資のデメリットとリスクをベトナム在住者視点から解説
この記事ではベトナム株、特に個別株へ投資をするにあたり知っておきたいデメリットやリスクを紹介していきます。
米国株などの先進国と比べると、ベトナム株への投資は高い経済成長が続いていることや、株式市場も発展途上といった事を書いた情報をよくみます。
もちろんそういった点もありますが、筆者はリスクやデメリットも少なくないと思っています。そういった危険性をこの記事では解説していきます。
ベトナム株投資のデメリットは日本語情報の少なさ

ベトナムの個別株へ投資をするにあたりまず最初にデメリットとして挙げられるのは日本語での情報が少ないことです。当然ですが、英語や現地語のベトナム語で情報収集する方が投資先の動向をタイムリーに入手でき、より深く理解ができます。
グーグル翻訳といった、翻訳ツールを使うことで日本語での情報が少ないことはある程度カバーできます。ただ、翻訳で情報を集めるのは苦痛に感じる方もいると思います。効率良い情報収集のためには英語での読解力は必須だと感じています。

下記の記事では日本語、英語、ベトナム語それぞれでのおすすめの情報サイトを紹介しています>>ベトナム株、ベトナム経済の情報収集に役立つおすすめサイト7選
一般的な外国株投資のリスクとベトナム株
一般的に日本から米国株や中国株といった外国株へ投資をするうえで考えられるリスクは下記3つが代表的なリスクになります。
- 為替リスク:為替の変動により損が出るリスク
- 流動性リスク:売買数量が少なく望ましい価格での注文ができないリスク
- カントリーリスク:政治や社会の混乱により株式市況へ悪影響が出るリスク
基本的にベトナム株への投資でもこれらのリスクがあると考えておきましょう。
📢 1つ目の為替リスクに関しては、ここ数年は円安ドン高が進んでいる傾向にあるため日本円からベトナム株への投資にはメリットになっています。詳しくは下記の記事で解説しています>>円安ドン高はベトナム株投資家に朗報
ベトナム株投資で特に注意したいリスク

ただ、ベトナム株の場合、先進国に比べ株式市場の歴史も浅く未成熟な側面がありその他にリスクが結構あると思っています。ここからはベトナム株特有のリスクも含めて具体的に5つ挙げていきます。
①流動性の少ない銘柄が多い

ベトナム株は株式の売買ボリュームが少ない銘柄が数多くあります。そのため、買えたものの、売りたいときに売れない(=購入希望者がいない)といったリスクがあります。
流動性リスクは主に中小規模の企業の銘柄をメインに扱うハノイ証券取引所(HNX)に上場している銘柄に多い傾向があります。最初のうちは大企業メインに取り扱うホーチミン証券取引所(HOSE)に上場している銘柄から選ぶことをおすすめします。
HOSEの上場銘柄であっても気になる銘柄をみつけたらその銘柄の日々の売買ボリュームが多くあるのかをチェックしておくことで流動性リスクをみておく方が良いです。

日々の売買の数量は「Vietstock」というサイトから各銘柄ページへ行くと直近5日間のおおまかな売買の量が確認できます。
上の写真はとある週のVHM(ビンホームズ)という大手不動産企業の売買の数量をみたものです。「Volume」欄をみると日々の売買量がわかります。売買量が極端に少ない銘柄は流動性リスクの観点から避けた方が良い銘柄と考えるべきかと思います。
「Vietstock」の活用法は下記の記事で解説しています>>個別株やベトナム株市場のリサーチに最適!「Vietstock」活用ガイド
②証券市場が未成熟のためトラブル頻発

ベトナム株は2020年の下半期以降、株式投資をはじめる方が急増したことに伴い売買量が増え市場が注文の処理に対応しきれないといった事態が何度も起こっています💦
2021年に入ってからも6月1日の午前中の取引で注文が急増し、証券システムがキャパオーバーし午後の取引が停止となった出来事がありました。
ベトナムのホーチミン証券取引所(HOSE)は2日、半日ぶりに取引を再開した。前日の1日午前に取引が急増したことで、株式売買システムへの過負荷を懸念し、国家証券委員会(SSC)の承認を得て同日午後は休場していた。(引用元:ホーチミン証取が取引再開、1日午後は休場)
2021年7月以降は新たな証券システムが導入されたこともあり目立ったトラブルは起きていません。ただ、今後もこういったトラブルが起こる可能性は先進国に比べ高いと考えられます🤔
③ルールがコロコロ変わる

ベトナムはご存知の方も多いと思いますが、ベトナム社会主義共和国という名の通り、社会主義です。そのため、ベトナム証券市場は国の政策のさじ加減ひとつでルールがコロコロ変わるリスクがあります。
筆者がベトナム株への投資をはじめた2019年以降では、それまでホーチミン証券取引所の銘柄は株式の売買が10株単位で売買が可能でしたが、2021年の年初から100株単位に売買単位が変わってしまいました。
ベトナム株の売買単位や値幅制限といった基礎知識は下記の記事で解説しています>>まず知っておきたいベトナム株の取引時間、注文方法、売買単位、値幅制限を解説
④企業の不正会計、粉飾決算がありうる

オモテに出てくることはめったにない話ですが、企業の不正会計や粉飾決算といった事がわりとよくあるという話を聞きます。
TCL/タンカンロジスティクス、追徴課税を課されるよう。ちょっと保有してるので気になった。金額として約12万円ほど。当然よろしくない事だが、珍しいことでもなさそう。今の所、株価にあまり影響してない💦 ベトナム証券市場への信頼が高まらない一因なのか!? https://t.co/ye70UnL2oR pic.twitter.com/O1yZXPbKKO
— ひっぴー🇻🇳ベトナム株投資家 (@hippy0902) February 18, 2021
2021年上期に筆者が保有するTCL(タンカンロジスティクス)という物流サービスを手がける企業が、税務申告に一部誤りがあったためにホーチミン市税務局から追徴課税を課されるということがありました。
こういった事は表に出ることもありますが、出ないケースも数多くあると考えられます。企業が公表している会計上の数字が信用しづらい、実態とかけ離れている可能性があります。
⑤米国、中国、韓国経済の影響を受けやすい

ベトナム株は業種にもよりますが、基本的に米国、中国、韓国の経済状況の影響を受けやすいです。
- 米国=ベトナムの輸出国でトップ2に入る
- 中国=ベトナムの輸出、輸入国の両方でトップ2に入る
- 韓国=ベトナムの輸入国トップ2、ベトナムはサムスン電子の生産拠点の1つ
ベトナム経済はベトナムからの商品輸出先として米国、中国に大きく依存しています。また、中国と韓国からの輸入が多くあります。また、韓国のサムスン電子の工場がベトナム北部にあり、スマホの生産などを行っており韓国の影響力も大きいです。
そのため、ベトナム株も同様に米国、中国、韓国の影響を受けやすいため、3カ国の情報もベトナム株投資をするうえではフォローしておく方がよいです。
参照記事:ベトナムの2019年の貿易、黒字幅が過去最高に (ジェトロ)
まとめ(ベトナム株はリスクも少なくない)

ベトナム株投資のデメリットと考えられるリスクや留意点を解説してきました。特に投資経験の浅い方にとってはリスクも少なくないため、ベトナムの事情に詳しいといった方を除き、最初の投資先としてはあまり推奨できないのが率直に思うところです。
そのほかの留意点としては、日本からベトナムの個別株への投資は手数料が高く、1度の取引で30万円程度の資金が必要になってきます。そうしたハードルの高さは以下の記事で解説しています>>日本からベトナム株投資で注意したい手数料負け、為替手数料について解説
※「株式投資で大切な考え方を一度まとめて知りたい📗」というあなたは今だけ無料で視聴できるオンライン動画からサクッと知識を学んでおくのがおすすめです>>【今だけ無料】投資の達人になる投資口座をみた感想と視聴の流れを解説
最後までお読みいただきありがとうございました。ではでは!